私とはるが、休みもせずに勢いのまま言い合いを続けていたからか、随分と大人しくしていた旭日先生。


…やっぱりって、なに?

いちいち発する可憐な声に苛立って、負けないように目に力を入れて振り向いた先。


何分か前まで、間違いなく私を敵対視していた旭日先生が、困ったように笑っていた。

その姿を、誰よりも近くで、訳も分からずにみつめて真意をさぐる霞先生と、恐らく私は、同じ表情をしている。


違うのは、旭日先生ととてもよく似た表情で、苦笑いをする、はる。


「…なぁ、深詞。

なんか、盛大に勘違いしてねぇ?」



今までの会話のどこにも、

はると旭日先生が目配せをするポイントなんて、なかったはずなのに…


視覚には捉えられるのに、私と霞先生からはみえない深いトコロで、ちらりと交わされるアイコンタクト。



「俺と心陽が、男と女の関係だと思ってんだろ?」


ーこはる。


霞先生が呼ぶそれよりも、言い慣れて聞こえる名前。


耳の後ろを掻きながら話すはるの仕草に、喉がかわいた。


「…だったら?

私が思ってるって言ったら、はるは認めてくれるの?」