一瞬、何が起こったのかわからなかった。
翡翠の名前を呼ぼうとした瞬間、フラッ...と立ちくらみを起こした。
お腹の重いわたしは、もちろん、踏み止まることは出来なかった。
倒れるっ!!!
そう、思った瞬間…………懐かしい匂いが鼻を掠めた。
そして、わたしは倒れることなく、誰かに抱きしめられた。
一瞬、葵ちゃんかと思ったけど……この……匂いは………
でも………さっき……部屋から出て行ったはず………
だけど……この……抱きしめられている感覚は………忘れるはずない………懐かしい感覚。
でも………でも………
わたしの頭の中は混乱していた。
そして、わたしは次に頭上から降ってきた言葉と言った人により、さらに混乱することになる。
「ごめん、珠莉。
悪ふざけしすぎた………」
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