翡翠は少しずつこっちに近付いてくる。
「ちょっと待って。
どうして、翡翠がここにいるの?」
わたしがそう言うと、翡翠は進めていた足を止めた。
「それは、ね、珠莉ちゃん。さっきテレビで………」
「いい、俺が言う」
間に入って仲介してくれようとしてくれた葵ちゃんの言葉を遮り、翡翠が口を開いた。
まだ、結治さんも説得出来てないのに………
「会社は?大丈夫なの?
戻らなくていいの?」
本当はものすごくうれしいはずなのに………
素直になれない……
「珠莉」
翡翠の優しい声が、わたしの脳内を狂わせる。
今にも抱き着いてしまいたい。
傍にいきたい。
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