だめ!
わたしは泣かないって、我慢するって決めた。
翡翠と会うまでは。
「へぇ〜、そうなの?珠莉ちゃん」
「何が?」
ぼーっと考え事をしていると、一緒にテレビを見ていた葵ちゃんが確かめるようにわたしに聞いてきた。
「ごめん、聞いてなかった」
「もう、今すごく大事なところだったのに!」
珠莉ちゃん!と、叱咤を浴びせられてしまった。
「仕方ないな〜。
聞いてなかった珠莉ちゃんのために、もう一回言って差し上げよう」
葵ちゃんは年下なのに、わたしより、しっかりしてる気がする。
妊婦のわたしを気遣かってくれるし、大変な時は手伝いもしてくれて…………寂しい時は傍にいて楽しくしてくれた。
翡翠がいなくてもやってこれたのは葵ちゃんのおかげ。
「お願いします。葵様」



