あのあと、翡翠は言った。





――――「三津木社長に何を言っても無駄だ。だから、結果を出して証明してみせる」




「結果って………会社?」



わたしは自分の考えをくちにすると、翡翠はにこりと笑って頷いた。




まだ、申し訳なさそうな表情をしながら。





「俺は、珠莉がいるから頑張れるってことを、三津木社長に理解してもらいたい。だから………」




チラリと下を見ると、地面に向けてる翡翠の左手に力が入ったのがわかった。



青筋が見えていた。




結治さんに話し合いで納得してもらえなかった悔しさが伝わってくる。




翡翠は、悔しいことがあったり考え事とかをしていたりすると無意識に左手に力が入る。




爪で傷を作っても気づかないほど、無意識に。





わたしがその手を両手でやんわと掴むと、自然と力が抜けた。


掌には赤い跡があるだけで傷はない。



よかった…………




そのあとその手を自分の額に当てた。