今何を言っても、きっと無理だ。
三津木社長が珠莉の母親を………自分の姉を失った悲しみはそれほど大きい。
「三津木社長、また来ます」
と、一礼をした。
顔も向けなかった三津木社長の耳に届いていたかはわからない。
だけど、もうこれ以上長居は出来ないと思い、珠莉を連れて部屋を出た。
「どうして部屋出たの?」
「あの様子じゃあ、今日は何を言っても無駄だと思ったからだ」
珠莉も何となくわかっていたのか、俺が言うと納得したように返事をした。
「でもさ……」
歯切れの悪い声を投げかけてきた珠莉に視線を送る。
「これからどうするの?」
首を傾け心配そうに俺を見る珠莉。
こんな状況で、あれだけど…………愛おしい。
その顔は反則だろ…………



