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「……り……ん、しゅ………ん」
ん………?
誰かに名前を呼ばれた気がして、重たい瞼をゆっくり開けた。
「珠莉ちゃん、起きた?」
名前を呼んでいたのは、葵ちゃんだった。
「あ、ごめんね。
寝ちゃってた…………」
「いいよ?
今は身体を休ませてあげなきゃいけないから………気にしないで?」
葵ちゃんは柔らかい笑顔でわたしにそう言った。
年下とは思えないほど、わたしに安心を与えてくれる。
「そういえば葵ちゃん、どうしたの?」
葵ちゃんがわたしの部屋に来ることは今まで何回かあった。
だけど、わざわざ起こされたのは初めてだ。
どうして今日は起こしたのか、気になった。
「あ、そうそう。
忘れるところだった」



