「一回ここから出よう」
そう言って熊谷は会場の外へと連れ出してくれた。
「お手洗い………どこ?」
「来い」
吐きそう…………
最近…………調子よかったのに………
緊張と不安と臭いでまた……………
「珠莉…………?」
この声は…………
わたしがずっと………ずっと………会いたかった人の声だ。
声のした方を見ると、やっぱり翡翠がいた。
「翡翠………」
翡翠はこっちに近寄ってくる。
なんか…………機嫌が悪い………?
なんで………?
でも今は……………
「珠莉…………お前…………」
「ごめんなさい…………」
わたしは熊谷の手を振り払い、一目散に走った。



