「珠莉は………?」
『さあ?知らないわ』
とくすくすと笑い出す、電話相手の女。
『まあいいわ、教えてあげる。
今、翡翠さんの大事なものはわたしの別荘にいるわ』
やっぱり………こいつが…………
『連れて行ったのはわたし。でも、残るって決めたのはあの子よ』
「は…………?
意味わかんねぇ」
『本当よ。
翡翠さんと別れたくないからここに残るって』
「お前が………そうなるように仕向けたんだろ」
『そうかもしれないわね。
けど、翡翠さんのせいでもあるんですよ?』
俺の………?
『さっき言いましたよね。
翡翠さんと別れたくないからここに残るって言ったって。
それはある意味、翡翠さんのためでもあるんですよ。
それに、翡翠さんはいくら頼んでも会わせてくれなかったじゃないですか』



