☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】




固まって動かない男から珠莉の腕を引っ張り、腕の中に納めた。




「社長のお知り合いですか?」



「そうだ。
もういいから行け」



「は、はい。
失礼しました」




男は慌てたように去って行った。





「珠莉大丈夫?許可証は?」



今まで黙って見ていた紺野が心配そうに聞いた。



「多分、社長室………」




やっぱり………思った通りだ。

何やってんだよ……本当に。




「行くぞ」



呆れながらも珠莉の手を握りしめ、歩き始めた。




珠莉とちゃんと話そう。



そう心に決めて。






会議室に入った瞬間、珠莉を抱きしめた。



「珠莉……ごめん。
俺は、言ってはいけないことを言ってしまった……
ごめん」




そう言って抱きしめる力を強めた。



「本当は嬉しかったんだ。
俺のために働いてプレゼントを買ってくれた事……」



こんなこと言っても傷付けたことには変わりないけど。





「わたしも……ごめんなさい。
隠し事しないって約束したのに……隠し事しちゃった……」



「それは……許したくないけど……珠莉が無事だったんならいい」



"何もなくてよかった"



珠莉が無事でよかった。