「それはわたしにじゃなくて、珠莉に言って下さい」
そうだな……
「わかってる……
珠莉はどこにいるんだ?」
"翡翠"
一瞬、珠莉の声が聞こえた。
後ろを見ても誰もいない。
空耳か…………重症だな。
「珠莉は…………どこでしょう?」
「お前…………ふざけんな………」
こいつ絶対楽しんでいやがる。
「ここまで来たんなら、自分で捜したらどうです?」
こいつ………
「うわっ!」
「きゃあっ!」
さっきから廊下が騒がしい。
気になって角から覗いてみた。
「珠莉?」
珠莉が男の上に倒れ込んでいた。
俺にとってはものすごく衝撃的な光景。
珠莉が見つかったのはいいが………なんでそうなってんだよ………
「きゃっ!」
珠莉が立ち上がったところで、腕を掴んだ男。
「待ちなさい。
どこに行こうとしてるんだ」
気安く珠莉に触ってんじゃねぇ………
「おい……」
「あ、社長。
いいところに………」
「そいつを離せ……」
「え………?」



