「とにかく捜しに行きなさいよ。
わたしはここで手当たり次第電話掛けてみるから」
「頼む」
こういう時、理恵が居てくれて助かる。
あいつはいろんな事に気を利かせて手を回してくれる。
俺はエレベーターに乗り込み、一番居そうなところに向かった。
「社長!どうしたんです?
こんなところに………」
普段来ない俺が来たから驚いている経理部の部長。
「紺野はいないのか?」
驚かれているのも構わず、俺は質問した。
「紺野なら、お昼になってすぐにどこかに行きましたよ」
どこか………
社長室か?
最近、あいつは社長室で弁当を食べる。
だけどさっきはいなかったから、向かう途中に珠莉と会ったのか………
「すまない、戻って来たら連絡してくれ」



