「珠莉」



「あ、翡翠……おはよう」


「今日は会社に来い」



「うん」





それだけ言うと俺はキッチンから離れた。



珠莉はまだ何か言いたそうな顔をしてたけど。





やっぱりまだ余裕ない。





そのあと、会話は一切しなかった。



朝食を食べる時も会社に向かう車の中でも。




珠莉は俺に話し掛けようとするけど、途中でやめる。



俺から漏れる負のオーラに負けるんだろう。





社長室にはいつもいるはずの理恵がいなかった。



二人きりの社長室では誰も喋らず静かだったけど、いきなり珠莉が話し掛けてきた。





「翡翠……あ、あのさ……」



チラッと珠莉を見て、すぐに視線を元の場所に戻す。



「今まで、黙ってたけどね、わたし…………」



「珠莉……仕事の邪魔だ。
あっちに行っとけ」



今はまだ無理だ。
話しを聞いてやれる状態じゃない。



「でも……「おっはよう♪」」




二人のテンションとは真逆の理恵が社長室に入ってきた。




「お前……来んのおせぇ……」



「ごめんごめん」



こいつ反省してねぇなと思い、チッ…と舌打ちをした。



「なんでそんなに機嫌が悪いのよ。
ユリちゃんにプレゼント貰ったんでしょ?」