「分かってくれたならそれでよし」 「ひどっ!」 羽兎はそっぽを向いた。 見るからに不機嫌そうな顔をしている。 紘哉は無言で引き出しから帽子を取り出した。 羽兎のかぶっている、ホームズの様な帽子。 「ワトコ、忘れ物だ」 紘哉が呼び掛けると、羽兎は横目でチラリとデスクを見た。 そして、サッと帽子を取る。 「……ありがとう」 ボソリと呟く。 「何だって?」 聞こえていたが、故意に聞き返す。