狸翠の声が沈む。 自然と恵一のトーンも落ちる。 『お前さ、今のまま署に帰ってきても使い物にならない。だから帰ってくるな』 「そうですか……」 確かに、このまま戻ったら羽兎が誘拐されたことを話してしまいそうだ。 『だから、今は紘哉の側にいて支えてやれ』 「!!何で紘哉の事――」 『……じゃあな』 「あ!ちょっと!!」 用件を一方的に話し、一方的に切ってしまった。