ぼやける視界。 徐々に焦点が定まってくる。 見慣れない天井。 ここは、どこ? 羽兎はゆっくりと起き上がった。 シアのような天蓋付きのベッドに寝かされていたことに気付く。 部屋は暗い。 羽兎の視界の中に窓はなかった。 ベッドの側のテーブルの上に、ちょこんとランプが置いてある程度だ。 その側に立っている人影。 「――おはよう」 それはゆっくりと言葉を発した。