7時18分
ドアが開く。
それは、空気が変わり始めるとともに、
私の視界が歪みそうになる合図で。
足音があたしの前の席でとまる。
あたしは窓枠に寄りかかったまま、
無視することにした。
「おはよ」
「…」
「無視かよ」
ブハッと朝から機嫌のいい奴が体を震わせるから、
視界の端っこで茶色が揺れるのが分かった。
「……おはよ」
悔しいけど、挨拶を返さないのも
居心地が悪くて小さな声で言った。
こちらに体をむけて椅子にまたがって、
あたしのカフェオレを勝手に飲み始める奴は―――――
あたしの気持ちを知りもしない。
