「たかちゃんか…」
「あ、そういえばたかちゃんに」
―――――彼女ができたんだ…
そう、言おうとしたけど
いきなり手を握られた。
「…相変わらず、仲いいよな」
「は?」
何が言いたいのかわからなくて、
とにかく触れている手を離してもらいたくて
ぶんぶん振ったけど離すどころか力が強くなった。
痛えよ馬鹿力っ
いらいらと焦りと恥ずかしさで目が潤むのがわかる。
「ねえ、」
「なんだよ」
「さーちゃんは」
八代があたしに近づいてくる。
顔が、鼻が触れそうだ。
とっさに赤い顔を横にそらした。
「さーちゃんは、」
耳に感じる熱と柔らかい何か
全身から汗が吹き出しそうなくらい熱い
息が直接、耳の中に入ってくる感じ
くすぐったさと足元から這い上がってくるゾクゾク
もう、やだああ…
