開けた窓から風が入ってカーテンが揺れる。


ひらひら。

ゆらゆら。


八代みたいだなって思った。



逃げてるみたいに手を伸ばしても届かない、あの頼りない背中はあたしを一人にさせる。



幼稚園で出会って

たまたま同じピアノ教室に通って

家も同じ区内で

毎日一緒に登校して一緒に帰って

学校ではそれぞれ仲のいい子と過ごしていたけど、あたしにとってもっともっと大きい存在だったのは八代で。

きっかけは覚えていない。

理由もわからない。

とにかく、今でも八代に依存してる。



八代離れの決心はついても、

なかなかあたしから出て行ってくれないのは

未だに八代が避け始めた理由がわからないから。


重いのは、わかってる。
たかが幼馴染。されど、幼馴染――――






もう、寝よう


布団をかぶって気持ちを落ち着かせて一眠りして
目が覚めたらきっと今よりずっと楽になれる。


目が覚めたら、きっと、何かが違う