「さやか」
いきなり、呼ぶなよ
いつも呼ばないくせに
なんでこんなに揺さぶるの
ただ名前を呼んだだけで
どうしてこんなに苦しいの
甘い雰囲気に飲み込まれそうでこわい
「離せバカ」
もう、泣きそうだ。
「……」
捕まえといて何も言わない奴はずるい。
「さーちゃんは、本当にずるいね」
「は?」
同じことを考えてたという事実より
自分が思ってたことを先に言われた
悔しさのが大きくて
言いかえそうとしたのに
あっさり離された手首
鞄を持って教室をでていく奴
「ちょっ…授業はっ!?」
「サボるから担任に言っといて」
「まっ」
ガラガラとわざと音をたてて出ていった。
7時32分
そろそろ、はやい登校者が教室に入る
