翌日、翌々日、“海”は帰ってこない。
どうしたのだろう。
何かあったのだろうか。
それとも、もう帰ってこないつもりなんじゃ…。
不安が頭をもたげる。
どうしよう。
いてもたってもいられなくなり、
「そうだ。この間の駅。」
えーと何処だっけ。
ここら辺と似た所だったよな。
急いで出ようとすると、電話が鳴る。
「はい、もしもし…。」
くだらない勧誘の電話だった。
「いえ、いりません。いえ、結構です。」
そう繰り返していると、チャイムが鳴る。
「誰か来たんでそれじゃ。」
無理やり電話を切り、ドアを開けると“海”が立っていた。
「お帰り。」
何も言わず、部屋に上がる。
「心配してたんだよ。何処に行ってたの?何かあったのかと思って気になって…。」
何も言わず振り向き、僕を見る。
まただ。
またこの瞳。
何を言っても、何をしていても、このガラスのような瞳が僕を見る。
いや、見てはいない。
僕を通り抜けて、そして何も見ていない。
僕は思わず抱きしめた。
“海”は何もせず、何も言わず、ただじっとしている。
腕に力を入れる。
強く強く…。
それでも“海”は何も言わない。
ただじっとしている。
僕は