「ここに置いておくから。タオルと着替え。」
すりガラス越しに彼女が見える。
あわてて部屋へ戻り、エアコンを点ける。
落ち着け。
落ち着け。
自分も着替えよう。
コタツに入り、ホッとしていると彼女が出てきた。
「あの…。」
お、喋った。
「有難う御座いました。着替えは洗って送りますので。」
すぐに出て行こうとするので慌てて、
「まだあったまって無いでしょ。コタツでもどうぞ。あ、何か飲む?コーヒー?お茶?」
「じゃ…お茶で…。」
また聞いてみる。
「名前は。」
「歳は。」
「住所は。」
何も言わない。
仕方がないので自分の事を話す。
受験の為に出てきた事とか、だから一人暮らしなので遠慮はいらない事とか。
「…しばらく此処に居てもいいですか?」
そうして彼女と暮らす事になった。
簡単に言い過ぎだろうか?
とにかく彼女との生活が始まったのだ。