噴き上げる真っ赤な炎が、まるで意思を持った大蛇のように見える。

それは、屋内で方向を替え、玄関口からも火炎を吐き出した。炎が逃げる弥太吉の背を捕えようとした瞬間、凪が弥太吉を抱いて横っ飛びに転がった。

その頭上を真っ赤な炎が舐めつくして行く。


「な、ぎ先生……」

「よくやりました。怪我はありませんか?」

「は、はい。大丈夫です。あ……織田さんが」

「わかっています。長瀬どのたちが応援に向かいました。後は……」


乙矢に任せよう、と言おうとした凪の正面に、蚩尤軍兵士が現れた。

爆風に巻き込まれなかった連中だ。


「いたぞっ! 貴様らぁっ!」


一、二、三……全部で五人。鍔が鳴り、刀が鞘から抜き放たれる瞬間の、風を斬る音を数える。