「昴くん、奈々ちゃん」


「あっ!香苗先輩!お久しぶりです!元気でしたか!?」


「招いて下さってありがとうございます。綺麗な島ですね」


「ふふっ二人とも相変わらずね」



フェリーを降りたあたしたちを迎えたのは香苗先輩だった。


美人が代名詞の香苗先輩は今日も綺麗。サラサラの長い黒髪にワンピースを着て香苗先輩は優しく笑う。


「香苗先輩。別荘ってどこにあるんですか?」


「うーん…あっちの方なんだけどね、残念ながら少し遠くて見えないの。ほら、あそこの山があるでしょう?あそこの近くよ」


「歩いていくんですか?」


それだったらキツいなぁ…。だって、あの山明らかに遠いし。


そんな風に考えて気分が滅入っていれば、香苗先輩がクスリと笑った。


「大丈夫よ。車持ってきたから。本当奈々ちゃんは変わらないわねぇ」


「ちょ、香苗先輩なんかあたしのこと馬鹿にしてませんか!?」


「ほら、二人とも。別荘行くんでしょ。こんなとこで痴話喧嘩してたら目立ちますよ」


香苗先輩とじゃれていると、いつも通りの王子様スマイルであたしたちを制した昴先輩にあたしは反論する為に口を開く。


「だって、香苗先輩が〜」


「あら。ひどい、奈々ちゃん。私のせいにするの?」


「か、香苗先輩!?」


「三浦さんってば酷いなぁ」


「ちょ、昴先輩まで…!二人して後輩をイジメないで下さいよ!」


「ふふ。ごめんなさい」


「ほら、泣かないで。ごめんね」


「な、泣いてないですよ!あたしのどこを見て泣いてると思ったんですか!」


「二人はまだじゃれあっててね。私は、車呼んでくるから」


「じゃれあいなんかじゃありませんよ!でも、いってらっしゃい!」


「三浦さんに同じく。じゃれあいってなんですか。そんなんじゃありませんよ。あ、ここで待ってますから」


「ふふ。はいはい」










あぁ、懐かしい。