「うっわぁぁぁ!」



目の前には綺麗な青い海。上には澄み渡るような青い空が広がっていて、時折、白いカモメが鳴きながら飛んでくる。

そして、遠くに小さく見える緑は目的地である小島。




「ハハッ……」





そんな素敵すぎる景色に興奮するあたしの横から小さな笑い声が聞こえた。


振り向けば、綺麗な茶髪の髪を風に靡かせた男の人が笑っている。

綺麗な顔立ちは周りの女性乗客員の視線を独り占めしていた。


「なんで笑うんですか…昴先輩」


ムスッとして言えば、彼は笑いながらその綺麗な手で、あたしの頭を撫でた。


「ちょ…っ!先輩!?」


女性の皆様から睨まれるんで止めて下さい!


「いやいや、キミは本当に無邪気だねぇ…。そんなにはしゃいでたら海に落ちちゃうよ?」


「しっ…失礼ですね!落ちるわけありませんよ!そんなに落ちつきなくないです!」


そう抗議すれば、先輩は目を細めてまた小さく笑った。

そんな先輩に、あたしはため息をついてフェリーの柵にもたれかかる。


彼は紛れもないあたしの高校の先輩である。綺麗な顔立ちの昴先輩はもちろん、学校の有名人であって女子生徒のアイドル的存在だ。そんな雲の上のような彼と平々凡々なあたしが知り合いなのは、部活が同じだというただそれだけの理由。


「………」


「ん?どうかした?」


「い、いえ!」


昴先輩を盗み見ていたあたしに、昴先輩は気づいたようで、不思議そうに首を傾げる。


そんな先輩も素敵です……。