紙のない手紙

「なぁ…リン…何なんだよ…」








あの後、リンに連れられ事務所を出た俺は、自転車に跨がる彼女に問いかけた。







「乗って…それを届けるには、行かなきゃならない所があるの。」







俺の質問に答えず、リンは荷台を軽く叩いた。








「何処に行くんだよ?」







「アンタも知ってる所。」








俺の知ってる所…?









俺の疑問を乗せて、自転車はゆっくりと走り出した。