もといた場所へと自転車を走らせるリンの後ろで、俺は一言も話さなかった。








行きとは違い、リンはゆっくりしたスピードで自転車を進ませた。









俺はこれが、こいつなりの優しさなのかもしれないと思った。









俺は真っ暗な世界の彼方を力のない目で見ている。










死んだ。










受け入れたくはないと思いながらも、心のどこかで認めざるを得ないという諦めがわいてきていた。












「リン…死んだら…いったいどうなるんだ…俺はいったいどうなってんだ…?」









リンはこちらに顔を向けず、少しずつ喋り始めた。










「あんたは死んだ。その後、一瞬だけさっきのかすがいの間を通って、もといた場所、たしか…霊魂世界だったかな?…にたどり着いた。」









「霊魂世界?」








「たしか…そう言ったはずよ。他にも、霊魂社会とか魂の世界とか…みんな色々言うけどね。」








おそらくリンは、俺が最初に立っていたあの場所のことを言っているんだろう。









確かにあそこには色々な建物があり、1つの街のようだった。









「…そんな所で何をするんだ?」












その問いにリンは短く答えた。


















「生きるのよ。」