紙のない手紙

あれは…リンが投げ入れた手紙か?



黒い紙飛行機は笹川の胸から飛び出したが、まるで意思を持っているかのように旋回し、再び笹川に向かっていった。









しかし、その横からリンの手が伸び、紙飛行機を握り潰すように力強く掴んだ。








「くっ……うぅ…」








掴まれた紙飛行機は未だに笹川に向かおうとし、それを引き止めるリンとの力勝負になった。








「このぉ…!」









リンは空いた手を肩から下げていた鞄に突っ込み、赤い袋を取り出し、自分の手ごと袋の中へと紙飛行機を突っ込んだ。








そして、ゆっくりと手を引き抜き、鞄に封を施した。









「捕獲……完了…」









額の汗を拭いながら、リンが一息ついた。