転校生が言うには、私と転校生は知り合いのようだ。

でも私はまったく見覚えがない。


「…初対面のはずだと思う。」

「だよな。」



……記憶はあいまいだから、知り合いではないとは言い切れないけど。


「じゃあ、浦川の席はあそこな。」


先生が指差した席は、私の左隣だった。


「矢川(やがわ)、いろいろ教えてやってくれよ!」

「は、はい!」



浦川くんが私に近づいてくる。私は立ち上がった。


「はじめまして。あの、さっきはありがとう。私、矢川 紬です。よろしくね!」


私があいさつをすると、浦川くんが首をふった。


「?」

「はじめましてじゃないよ。」


さっきの言葉は聞き間違えじゃなかったの……?





「キミは僕の初恋の人だ。」