「ほらな。榊原サンは可愛いよ。」
「なになにぃー、榊原チャン自覚なしー?」
 吉久クンも便乗してからかい気味に言う。
「そうなんだよ。ありえねぇよな。」


 嘘だぁ…。
 あたしが可愛い?
 まさか…。

「おーい、茫然としすぎ。」
「だって…」
「そろそろ受け入れないと怒るぞ。」
「う…、ごめん…。」

 友菊クンはあたしに眼鏡を返しながら笑った。
「これからはメガネつけんなよ。」
「……」
「返事は?」
「はぃ…。」


 静かに自分の席に戻ろうとするあたしに友菊クンは小さく囁いた。

「大丈夫。自信持てよ。」

 コクンと頷く。
 
 低く優しく甘い声。そんな声にキュンとなって、ゾクッとしたのは内緒。