「榊原 楓です…」
「そう、楓チャン。あたしは友菊 望海(ともぎく のぞみ)。よろしく。」
「よ、よろしくお願いします…。」
ペコッと頭を下げる。
「彼女だから、そいつ。」
「へぇ、やっと捕まえた本命?」
「うるせぇ。…てことで、もう帰っていいよ。」
「はいはい、じゃぁね、お大事に。」
そう言って、あっさり望海サンはドアを開けた。
「あ、楓チャン。色々めんどくさい弟だけどよろしくね。」
「うっせぇ!」
飛鳥の叫びを聞き終える前に望海サンはドアを閉めた。
そして、カツカツというリズムのいい足音が遠ざかっていく。

