「いい加減、自分を許せない?」


 ―---重なって見えた。

 楓と里奈が。
 他人想いな2人が。

「あたしなんかが、言えることじゃ…ひゃっ!?」

 楓が言い終わる前に、俺はその小さな身体を抱きしめる。

「…ごめん。」
 そう呟いた俺に応えるように、楓は俺の背中に手を回す。
「好きな奴が別にできたとか言ってごめん。自分の都合のいいように振り回してごめん。」
 優しい温もりを逃がさないよう、さらに強く抱きしめる。


「俺を、許してくれて、ありがとう――――!!」