「目の前にいた飛鳥クンのせいじゃないし、雨でもない。濡れた道路でもないし、運転していた運転手でもないの、原因は。」


 何回も聞いた、里乃の言葉。
 でも、次の言葉はいつもとは違った。


「だから、誰かをちゃんと好きになって。誰かに好きになってもらって。」


「里乃…?」

「…理月クンから聞いた。女の子とひどい付き合い方してたのに、いつも違う感じの彼女ができたって。」


 あの野郎。
 勝手なこと教えやがって。

 里乃と理月の妹が同じ学年ということもあって、2人は微妙に仲がいい。