【楓side】 「榊原サン、隣のクラスの人が読んでるけど?」 同じクラスの女子が声をかけてきた。 「だれ?」 「んー、なんだっけ…。林原クンって言ってたけど…。」 男子の呼びだし、最近ものすごく多い気がする…。 あたしは苦笑いしながら立ち上がり、教えてくれた女子にお礼を言う。 「ありがと。」 そして教室の外にでる。すぐにこの人だとわかる人が壁にもたれて立っていた。 「林原クン?」 声をかけると男子はパッと顔を上げた。 日によく焼けたいかにも運動部な男子だった。