「て、めぇッ」

「はーい、そこまでぇ」

 木下サンがあたしに殴りかかろうとした瞬間、気の抜けた声が止めに入った。
 低くて優しくて甘い声。実は、あたしが大好きな声。

「飛鳥ッ!?」「友菊クン…?」
「なーにしてんのかなぁ、理沙。」
「~~~ッ」
 木下サンはバツが悪そうに下を向く。

「いったい、どれだけ榊原サンを傷つけた?」
「っしらないわよ!」
 叫ぶ木下サンを見て、友菊クンは木下サンの髪を掴んだ。


「逆恨みだよな?」


 低く、怒気をまとった声だった。