キミが恋した時。



 更衣室に足を踏み入れた瞬間、抱きしめられた。
 もちろん犯人は飛鳥。

「…飛鳥。」

 あたしも飛鳥の背中に手を回す。
 飛鳥はあたしの言葉には答えず、あたしの顎をつかみ荒くキスをした。

「ッ…んンっ」

 愛が、溢れる。
 二人分の、愛が。


「ん、…フッ」

 唇が離れた。
 いつもより短い激しいキス。

「飛鳥…?」

 今日、飛鳥は一度もあたしに話しかけてこなかった。
 今日、飛鳥は一度もあたしと目を会わせなかった。


 ねぇ、それはどういう意味なの…?


「楓」

 飛鳥があたしの名前をゆっくりと呼ぶ。
 あたしは顔を上げることしかできない。