ザーザーと雨が降り続ける中

俺は傘を片手に一人あんパンをほうばりながら、屋上の快人様専用ベンチに座っていた。

快人様専用とはいっても、もともと屋上は立ち入り禁止で、普段は鍵がかかっていているところを

一年の頃にどうにか合鍵を作り、昼休みになると毎日昼飯を食べに来ているのだ

その過程で汚い屋上を掃除したり、座れる場所が無いのでベンチを作ったり

大変な苦労があって今こうして俺は快人様専用ベンチに座っている

そんな超どうでもいいことを思いだしながら
雨が地面を打ちつける音をBGMにどんよりとした空を眺めていると

ズボンのポケットに入っている携帯が鳴り着信を伝えてきた

「快人?今どこにいんの?」
電話の相手は俺の数少ない友達の一人の
前田晃汰(まえだこうた)
だった

「ん?屋上」

「今すぐ教室来いよ良いもん見してやるからさ」
晃汰の言う良いものなんてたかが知れてるし、何よりダルいので率直に

「ダルい」 
と告げると

「黙れバカ!雨降ってんのに屋上で飯食うほうがダルいわ」
そりゃそうだ

どっちにしろ授業が始まる前に教室に戻ることには変わりないから、予定より早く俺は教室に戻ることにした

~教室~

教室に戻ると晃汰がすぐに寄ってきた

「で?良いもんって何?」
良いもの見せるとしか聞いてない俺は、何が見れるのか気になったので、とりあえずそれを訊くことにした

晃汰の説明によるとこうだ
学校でナンバー1の可愛さを誇る女子がこの教室に来ると誰かが耳にしたらしく

理系男子クラスのバカどもははしゃいでいるらしい

それでだついでに灰色の青春を謳歌している俺に、少しでも桃色の青春を夢見てほしいと思って呼んだらしい

バカか!!
ここまで小さな親切余計なお世話という言葉が似合う状況に出くわすだなんて

こんなことなら電話無視して屋上にいればよかった

激しい怒りと後悔にかられながら心の中で文句を言っていると



ガラガラガラ
と教室のドアが開いた