いつも天音くんはあたしの左側にいたから、慣れてないはずの彼の左側。
でも手をつないでるからかな?
今なら何でも話せそうなくらい心地いい。
心臓はあり得ないくらいうるさいけど――。
話しちゃおう。
全部。全部…。
いつか話したいと思っていたことを――。
今なら話せる。
あたしは昨日、勢いで“好き”って言った――。
だけど、天音くんは昨日からたくさん“好き”って、あたしに伝えてくれる…。
だからあたしも、全部伝えてお返ししたいんだ…。
あたしたちは校内を抜け出して道に出た。
「天音くん…」
「ん?」
あたしが話しかけたことに、タレ目を優しくますます下げて、天音くんは微笑んだ顔で応えてくれる。

