でもそんなのは気にしないで、天音くんはちょっと悲しそうな目をあたしに向けてくる――。
「イヤ？」
また、そういう目で見つめないでよ…。
やっぱりこの上目遣いに、あたしは勝てないんだから…。
それに、いやなワケないじゃんか…。
だだ…、ちょっと恥ずかしいけど…。
「いやじゃ、ないけど…」
そのあたしの言葉を聞いて、いたずらに天音くんは笑って。
「俺はしたい、笑花はいやじゃない。なら、決まりだよね？」
――少し強引で子どもみたいな天音くんが、いつもよりかわいく感じてしまう。
だからかな？
「……うん」
顔が熱い。
多分赤くなっている顔を、見られないように少し俯いてあたしは答えた。
