でもどうしよう…。

どうしてまた、あたしは傘を忘れて来ちゃったんだろ……。

自分でもあたしの鈍くささに呆れてしまう。



……でも、ちょっとだけ…

「初めて話したときみたいだね?」

その言葉を発したのは、天音くんだった。

あたしは驚いて、背の高い天音くんを見上げる。


だって…、あたしも同じこと考えてたから……。

天音くんはちょっと恥ずかしそうに笑いながら、あたしを見ていた。


あたしはうれしくて、それに応えるように、小さく笑い返す。




「じゃあ今日は、一緒に入って帰ろうね?」


笑顔のまま靴を履いた天音くんがビニール傘を掲げて言った。


え…っ、それって…、


「それって、相合傘だよ?」


あたしは思わず、ちょっと上擦った声を出してしまった。