「笑花、傘持って来てる?」

「え?」


突然の質問に酸素の足りない頭は付いて行かない。

傘?


「黄色い折りたたみ傘」

「…。あぁ!」


少し慌てながらバックを天音くんから受け取って、探すけどどこにも見当たらない。


「忘れて来ちゃったみたい…。けど、どうして?」

「外、見てみて」


天音くんの指差す方に目をやると。




―――なんで?

今日は1日中晴れだって朝の天気予報で言ってたはずのに。

あたしが一緒に帰れるってうれしくなったからなのかな…?



外では、しとしとと雨が降り注いでいた。


「俺のは、置きっぱだったから有るんだけどね?」


天音くんはなぜかうれしそうに、あたしの顔を見てる。

そんな天音くんを見てると、あたしまでうれしくなってくる。