やだよっ!

みんなの前でなんてっ!

しかも、あたしが最後に送ってもらったあの夜のキスが初めてだったあたしだよっ!?

むりだ!

そんないじわるなこと言う人は誰なのさっ!




「今、他のヤツのこと考えたでしょ?」

「ほぇ?」


ちょっと膨れっ面した天音くんが、あたしの顔を両手で上を向かせた。



顔、近い……。

さっきのあの人の発言のせいで変に意識しちゃうし…。





「俺のことだけ考えてよ」





えっ、ちょっと待って!

だんだん顔が近づいて来てる?

まさか……っ…?





思わずあたしは目を、ぎゅっとつむった。

周りの歓声は最高潮で―――。





「逃げよっか?」




天音くんは少しいたずらな声であたしの耳元に囁いた。