そしてあたしは今、天音くんのアパートの部屋の前に立っていた…。
新しいとは言えないけど、でも一人暮らしには広そうなアパートだと、外から見ただけでも分かる。
“3日も休む風邪なんだ”
“一人暮らしじゃ寂しいよ”
“あの時のお礼しなきゃ”
来る途中で、だんだん心配になってきて、あたしは早足で天音くんの家までやって来たのだった。
でも、今さら緊張してきて…。
「…はぁ…」
チャイムが押せない。
どうしよう…っ!
先生に言われて勢いで来ちゃったけど、迷惑になるかもしれない…。
それに天音くんだって、好きな人…先生にお見舞いに来てもらった方がうれしいよね…?
……帰ろう…かな…?
そう思ったとき。
天音くんの部屋の中からドサッという物音がした。

