彼を見たら、また涙が溢れそうになる。


けどあたしはそれを抑えて、天音くんを起こさないように、そぉーっと帰りの支度をした。


バックに物を詰め終え、早く帰ろうとしたとき。




ガタッ!!




あたしはイスに足をぶつけてしまい、大きな音が教室いっぱいに響いた。




「…笑花?」




大好きな、あたしを呼ぶ声が後ろからした。


起こしてしまった…。




「あれ…俺、寝てた。
…待ってね、笑花?
一緒に帰ろ?」


天音くんはガサゴソと物音をたてながら、あたしの背中に向かって話しかけてくる…。



きっと今ここで振り向いたら、あたしはもう戻れなくなる…。

だめだよ…。

だめ…。



保健の先生が好きなら、
あたしなんかと帰っちゃ

だめ…。