そんな天音くんの背中を、あたしは見えなくなるまで見つめていた。


傘は差しているが、雨が降る中で。





『雨、嫌いなんでしょ?』

天音くんが言った言葉を思い出す…。



―――『嫌い』?


ずっと前から雨が嫌いだった。

行事は絶対“雨天時は中止”。

だから、どんなに楽しみでも、雨女なあたしのせいで、いつも“中止”か“ずぶ濡れ”が待っていた。


……楽しみじゃなかった運動会は中止になったことないけど。

だから『嫌い』だった…。





そんなことを考えながら、あたしはもう一度天音くんが行った道を見て、家の扉を開いた。



「お帰りぃ」

キッチンから夕食の準備をしていた、お母さんがひょこっ顔を出して言った。


「ただいまぁー」