あたしの家に着くと。


「俺も、雨が好きだよ。
…笑花が好きだから」



天音くんはそう言って、あたしの手を離した。

天音くんの手が離れて、天音くんの手はあったかいと思った。

行き場を無くしたような、さみしい気持ちになってしまう…。



なにか言わなきゃ…。

天音くんが帰っちゃう…。



「あのね、笑花?」

「は、はいっ!」


びっくりしたあたしを見て、天音くんはクスクス笑う…。

……びっくりしちゃったんだもん、仕方ないじゃんか…。


ちょっといじわるな天音くんに、あたしのほっぺたは少し膨らんだ。


でも、天音くんはすぐに悲しそうな顔をして、あたしに向き直った。


「ごめんね、笑花?」