静まれ!!あたしの心臓っ!!
どきどきしながら固く結ばれた手を見つめる。
――どんっ!
「痛っ!!」
おでこに感じる痛み。
それは杉下くんがいきなり止まったからだった。
「ちょ。ちょっと!杉下くんどうしたの!?」
杉下くんは背中を向けたままだ。
「ねぇ。村上は…。誰が好き?」
「なっ!?」
いきなり変なこと聞くから…。
好きな人…。
杉下くんだよ……。
なーんて言えないし!!//
杉下くんが振り返ってあたしを見つめる。
「好きなんだけど……。楓。」
逆光で杉下くんの顔が見えない。
………………。
「え?誰を?」
頭が追いつかない。
何を……言っているの?
「楓を。」
へっ………。
「う、嘘っ!?」
嘘。絶対嘘。
ありえない。
幻覚見てるんだ。きっと。
抱き寄せられて、頭がおかしくなったんだ。
「ほんとだよ。まじだから。」
