3学期になって学校にも慣れた。
あたしはいつものようにスクバを持って教室を出た。
廊下をとぼとぼ歩いていると、目の前にあたしより少し背が低い男の子が立っていた。
「…あ、えっと。」
その人は俯いて、あたしの顔を見ない。
「な、何?」
なにも喋ろうとしないその人に少し苛々してしまう。
「好きなんだけど…。付き合ってくれない?」
え…話したこともない、もちろん名前も知らないのに好きだって言うの??
分からない。
でも、好きって言ってくれてる。
「えっと…。」
なんて返事をすればいいのかもわからない。
告白なんてされたことないし………。
「楓ちゃん。…ダメ?」
その人はやっとあたしの顔を見た。
名前知ってくれてる…。
嬉しいけど…。
