「俺は……いるよ。彼女。」

「ふ~ん。…どんな人?」

「守ってあげたくなる人。弱くて、臆病で。」


要は、すごく哀しそうな、でも嬉しそうな、愛しそうな、そんな表情だった。


「そっか…。大事にしなきゃ、だめだよ…?」

「当たり前だし。」


要は、好きな人のことを話すとき、そんな顔をするんだね…。

あたしは知らない。

要に、大事にされることが当たり前のその子は…どんな子なんだろう。

その子は、あたしの知らない要を…知っているんだね。


「今度、紹介するよ。」

「……うん。楽しみにしてる。」




こんなこと、分かってたはずでしょ?

要に彼女がいるって…思ってたはずでしょ?

だって、要はかっこよくて、優しいから。

彼女くらい、いるって。



思ってたはずだよね??


なのに……涙が溢れそう。