――パタン。

静かにドアを閉める。



ふと、鈴璃が言ったことを思い出す。



―『楓が辛い思いをするのは嫌だ。』

―『あたしだったらそんな純愛できないなー…。』

―『新しい恋、見つけなよ。』



知らないうちに、あたしのせいで、鈴璃まで傷ついてる。

いいのかな…。
要を好きでいても。
想っていても…

辛い思いをするのは…あたしだけじゃないかもしれない。
鈴璃も…お兄ちゃんも…
あたしの辛い顔は見たくないよね…。


でも…なんだか嫌だ。
考えられない。


……怖い。
……忘れられない。



ただ、ただ。

要以外…好きになったことがないから、ただ、あたしは怖いだけ??

忘れられないんじゃなくて、忘れたくないだけ??


………分からない。
なんでこんなに、胸の奥が痛いのかも。
なにもかも。

好きって、苦しいよ。
哀しいよ。
辛いよ。

恋って、こんなに辛いの……?